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フィリップモリスインターナショナル(PM)値上げによる収益向上分の使い道

f:id:hotonodokabu:20190406165749p:plain先日、フィリップモリスインターナショナルに関する以下の記事で、この10年間、ドル高による影響でドル建ての業績が伸び悩んでいますが、現地通貨では成長が8.5%程度あったことを紹介しました。

<参考該当記事>

https://www.hotondokabu.com/entry/2019/04/06/173723

 

当該記事では、タバコ販売数量の減少を値上げでカバーし成長していると説明しました。これは正しいのですが、実際、販売数量減少と値上げの影響を実際の数値で確認し

ていきます。

 

各種数値(すべての基礎数値はアニュアルレポートからです)

販売数量推移

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ここでは、銘柄ごとの販売数量を6年分並べてみました。大体3%弱、毎年販売数量が減っています。ここまで毎年コンスタントに減少し続けると、普通なら恐怖を感じます。

ここ3年はMarlboro・L&M・Bond Street・Larkなどのブランドの数量が減少していますが、これはHeated Tobacco Units(いわゆるRRPsといわれるIQOS)に移っているだけでと思います。

財務数値

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⊿%は該当年度の一年前のRev EX Taxに対するCurrencyの増減率です。
ここからMix Volumeはおおよそ2%程度の減少が毎年続いている事がわかります。単純なVolumneとの差が1%程度ありますが、これはおそらく低価格帯から高価格帯へシフトが進んでいる事が推察できます(ブリティッシュアメリカンタバコのIR資料にも戦略的製品の成長が強調されている記載がありました)。

値上げの影響はRev EX Taxに対して約6%程度あることがわかります。ここから値上げと販売数量減の影響は+6%(値上げ影響)ー2%(販売数量減少)=+4%と推察できます。なお、営業利益率は大体40%弱なので利益へのインパクトに換算すると+10%程度あることが計算できます。じゃ、冒頭OI(organic)の成長率が8.5%との差が1.5%ありますが、これは何なのかという事を検討していきたいのですが、まずMarketing, Administration and Research Costsについて分析表を載せておきます。

Marketing, Administration and Research Costs(以下、MARC)

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expensesの増加は主にRRPsの開発販売費用との記載がありました。ググってみたら4,500億円の開発費を費やしたとの記事も見つかったので、なんとなく整合性がとれているかと思います。ちなみにUS GAAPでは研究開発費は全て発生時費用処理なので、仮にRRPsがこけて儲からない事がわかっても、建物や在庫の減損はあるのでしょうが、研究開発費については減損は発生しません。この点は安心できますね。この費用の増加はRev EX Taxの2%程度についてマイナスの影響を及ぼしています。

OI

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とりあえず載せました。コメントは、あとでまとめています。

成長率内訳

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RRPsの影響が大きいように感じるので、販売が始まった3年間の増減の比較としました。

これを見ていると値上げが5.4%プラスの影響を及ぼしています。このプラスされた収益を販売数量減少に1.3%使い、RRPs販売開発に1.3%使っています。さらに意図していない為替レートの影響により2.1%使わされています。この結果、OI(営業利益)まで落ちると0.5%しかプラスの影響がなく、ほとんど値上げの効果を打ち消されています。なお、営業利益率は40%なので、営業利益ベースで考えると1%のプラス成長が実現されてきた事になります。

まとめ

当社は販売数量減少の影響と増配余力の確保をタバコの値上げという手段で長年対応してきました。しかし、近年はそれだけでは足りずRRPsを開発販売する必要があり、そのためコストが増えています。この流れは当面続くと思います。一方でFRBが金融緩和を始めないとドル高が止まりにくい状態かと思います。このため、景気後退が始まると為替レート変動のマイナスの影響は避けれ、6%程度の成長が見込めます。その後、RRPsの開発販売競争が落ち着くと10%程度の成長が見込ます。しかし、それはかなり時間を要すると思ますし、また事業環境が変わっている可能性があり、この計算は成り立たない可能性が高いと思います。このため、自社株買いがないと仮定したら1%~6%程度のEPSの成長が見込まれる銘柄と結論付けれるのではないでしょうか。