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フィリップモリスインターナショナル(PM)のオーガニックな実力

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こんにちは

 

 今日は、個人投資家に人気があるタバコ銘柄のフィリップモリスインターナショナルの分析を行っていこうと思います。この銘柄は色々なサイトですでに紹介されていますが、シーゲル教授が「株式投資の未来」で過去半世紀のリターンで№1との紹介がありました。私も8年くらい前にそれを読んで買ってしまった一人で、保有している事を自慢どころかちょっと恥ずかしく感じるときもあります。しかし、この10年弱のEPSの成長率は低く、事業の成長を感じれません(それを反映して株価も一定です)。一方で毎年の増配率は高いため配当性向が100%近くになっていました。本当に当社は成長していないのか?なぜ配当性向が100%近くなっても高い増配率を維持しようとしているのか疑問が湧いてきます。この疑問を解決するため、簡単に事業内容の紹介を行ってから、業績分析を行っていこうと思います。

 参考:株価推移

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事業内容

 当社は米国以外の180か国以上で事業を展開し、タバコの生産・販売を行っている会社です。元々はアルトリアグループという米国のタバコ会社と同じ会社だったのですが、訴訟リスクを分離するため、米国とそれ以外で分社化がされ、当社が誕生しました。このため、将来、訴訟リスクが低くなると再び合併するかもしれません。

 このタバコという商品は変化が少なく中毒性があるため非常に儲かる商品でありますが、業界には参入障壁が高く過渡競争に陥りにくい業界です。このため、当該業界で高いシェアを誇っている企業は長期にわたって非常に儲かりやすい状態が続いています。一方でこの業界の企業は非常に大きな訴訟リスクを負っており(過去には16兆円の損害賠償命令判事が出ていた事もあるそうです)、万年、株価は割安です。

 なお、近年は業界縮小リスクから加熱式タバコ等の開発販売に力を入れおり、研究開発費や販売費がかさみ、少々業績の重しになっています。当社は少しでも喫煙による被害を低減する事を存在意義として表明しており、その手段として紙巻きタバコの撤退、どうしても喫煙を辞めれない人にIQOSを中心としたRRPsの提供を行うと述べています。また、当社の日本支社副社長が「加熱式たばこを開発する過程では、科学的なフレームワークの構築を行ってきた。その水準は医薬品業界が持つ高度なレベルに達した」「企業は、製品やサービスそのものとともに、それをつくる『技術』を売っている。これまでと違う能力を持つ社員の参加で、提供できる技術の幅も広がる」と述べています。将来は健康リスクをより抑えたタバコの開発や何か違う製品を提供する会社に変貌しているかもしれませんね。

業績推移

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今回は業績推移を見やすくするためエクセルで作成した表を図として貼付ける事にしました。

Rev Ex Tax(いわゆる物品税抜き売上高)とマーケットシェア

 タバコ会社は政府から高いたばこ税を課せられているため、売上が税額分のみ傘上げられます。このため、税負担率によって売上や売上高利益率が増減するため、税抜きの数値で業績推移の分析を行う事にしました。 

 さすがに2007年から見ていると上昇していますが、2010年代に入ってからは横ばいです。当社は米国以外で事業を行っていますが、報告はドル建てのため、ドル高になると見かけの業績が成長しにくいためです。このため、売上推移からは成長は読み取れません。

 一方でマーケットシェアは増加しています。シェア増加で売上一定という事は、縮小業界で頑張って踏みとどまっている、または他社が撤退しているのではないかという事がうかがえます。

OI(いわゆる営業利益)

 これについても、為替レートの変動の影響が大きく横ばいです。なお、為替レートの変動やM&Aの影響を無視した数値が会社のIR資料にはありますので、OIのorganicの列に並べました。organicについも数値は2010年から成長していませんが、これはあくまで単年度の為替レートの変動等を無視した数値のため、これだけを並べても事業の成長を測る事はできません。よって、ここでは前年OIと当年度organicを比較し、その増減をcagrのorganicの列に並べました。そうすると、単なるcagrとは別世界の風景が見えてきます。単なるcagrは年率成長率は平均で2.7%ですが、cagrのorganicだと8.5%にもなります。つまり、事業の成長としては当社は8.5%だとみてもよいように感じます。

DPSと配当性向

 高成長しています。平均すると12%成長です。上記でorganicは8.5%程度だと説明しましたが、これを前提とするとOI成長8.5%+自社株買と考えると増配率12%というのもうなずけます。ただし、ドル高のためOIが伸びず配当性向が100%近い状態が恒常的になっています。事業活動を通じてドル以外の資金を獲得し、ドル建てで連続増配しようとすることは矛盾があり、このような矛盾を長期間抱えているとこのような事態に陥るのも致し方ないと思います。このままドル高が続くと、当社は連続増配の定義を見直さないと、配当が払えなくなるかもしれませんね。

まとめ

 以上の記事から、当社は高い増配率に相当する成長は実現できているように感じますが、如何せんドル高に泣かされているように感じました。いつかドル高が止まると、今までの停滞を吹き飛ばすような業績の伸びをみせてくれるかもしれません。一方でRRPsの開発・販売コストが多額にかかりすぎると、紙巻きタバコの収益を食いつぶす可能性も感じます。将来の事はわかりませんが、この10年の事業は成長していた事は感じれました。