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プレミアサービス(オートクレジット)分析

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同社は、「オートクレジット」と「自動車ワランティ」の二つが主力の事業サービスとなっています。2018年3月時点で全社に占める売上の割合は「オートクレジット」が60%で「自動車ワランティ」が23%でした。今回は、まず売上が大きい「オートクレジット」の分析を行っていきます。まず、当社の財務諸表は通常の商社や製造業と異なり、理解しにくいように感じたため、どのような仕訳を起票し、それが財務諸表に表れているのか、また資金の動きを検討していこうと思います。

オートクレジットの事業内容

オートクレジットは、資金の調達方法で「立替金方式」「提携ローン方式」の二つに分かれています。取引の9割が「提携ローン方式」のため、「提携ローン方式から検討していきたいと思います。

提携ローン方式

「提携ローン方式」とは、金融機関から顧客へローン提供のため、資金の立替・事務全般・連帯保証を行う方式です。当該方式では、当社の資金の立替・事務全般・連帯保証の3つの役割がありますが、特に連帯保証に大きな付加価値があると推測され、顧客から得る収入は信用保証収益としてPL上計上されています。

取引概要

まず、有価証券報告書に記載されている取引関係図をいかに添付します。また、収入と経費利益の関係図を示します。その後、取引ごとに仕訳を検討していきます。

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仕訳例

設例の条件

購入代金

100

クレジット代金返済

10

販売促進費

1

調達コスト(利息)

1

保険料

1

税引前利益

1

① お客様が加盟店に対して商品購入等を目的としたクレジットを申込み

  仕訳なし

② 提携金融機関がお客様の審査を実施、PFSがお客様の信用情報等の保証審査を実施、承認

  仕訳なし

③ PFSが加盟店にクレジット代金及び販売促進費を送金

  立替金 100/預金 100  ←購入代金

  立替金  1/預金  1  ←販売促進費

④ 提携金融機関がPFSにクレジット代金を送金

  預金  100/立替金 100 ←購入代金

  預金   1/立替金  1 ←販売促進費

  預金   1/金融保証契約(流動負債) 1 ←信用保証収益(営業収益)となる

⑤ 加盟店がお客様へ車両等、購入商品を引渡し

  仕訳なし

⑥ お客様がPFSへクレジット代金を返済(月次返済)

  預金 10/預り金 10 ←クレジット代金+利息

⑦ PFSが提携金融機関にクレジット代金を返済(月次返済)

  預り金 10/預金 10

⑧ 金融負債(信用保証収益)に相当する債権が貸倒しなかった事による時の経過による償却

  金融保証契約(流動負債) 1/信用保証収益 1

 

有価証券報告書の財務諸表・注記・事業内容を読んで、想像した仕訳で間違っている可能性はありますが、以上となります。

注意しないといけない点が、④に記載されている仕訳でしか、収益となる入金がありません。金融保証契約(流動負債)の取り崩し期間が長いと、利益面は安定しますが、キャッシュフローは利益と乖離します。このため、取り崩し期間が長いほど利益は信用できず、業績好調だが減配や最悪資金ショートによる黒字倒産に陥るリスクがあります。しかし、当社は立替金方式もあるため、立替金方式の仕訳も理解しないと正確な財務分析ができません。以下にて、立替金方式と提携ローン方式の違いから仕訳を検討し、その後、金融保証契約(流動負債)の取り崩し期間を検討します。そして結論として、KPIが悪化しだすと利益やキャッシュフローにどのような変化が現れるか検討します。

立替金方式と提携ローン方式の違い

簡単に述べると提携ローン方式は金融機関から顧客へ資金を提供していましたが、立替金方式は当社が顧客へ資金を提供する方式です。このため、相違点として考えられるのは、提携ローン方式は利息が金融機関の収益となりますが、立替金方式は当社の収益となります。また、提携ローン方式は貸付金は金融機関のBSに計上されますが、立替金方式は当社のBSに計上されいます。実際、流動資産金融債権がこれに該当するかと思います。

以上から、金融債権の増減を考慮してキャッシュフローの分析を行うと、当社の実力を把握しやすいかと思います。金融債権の増減を考慮したキャッシュフローと利益の乖離が大きくなると、何かおかしなことが発生している可能性があるため、要注意だと思います。

金融保証契約(流動負債)の取り崩し期間

金融保証契約(流動負債)は、オートクレジットの返却期間にわたって取り崩されます。このため、流動負債に計上されていますが、一年以内に取り崩されるわけではない点に注意が必要です(会計の専門用語で「正常営業循環基準」といい、営業循環の過程で発生した資産負債は1年を超えて計上されるものであっても流動項目として取り扱うという基準だそうです)。

では、どれくらの期間にわたって取り崩しが行わるのでしょうか?2018年度決算説明資料に10年にわたりオートクレジット取引高があるので、これを使おうと思います。

       単位:億円

年度

年数

取引高

2012

7※

421

2013

6

530

2014

5

613

2015

4

688

2016

3

816

2017

2

939

2018

1

1,103

※7年に設定しているのは、当社のオートクレジットの申込のHPで分割返済の回数が7年分であることが確認できたからです。

以上により、平均取引高は730億円となり、2018年度残高は2,056億円なので、平均借入期間(=金融保証契約の平均取崩し期間)は約3年となります。

つまり、借入金を返済してから新たに自動車購入を行うと仮定したら、3年間収入は途絶えることになります。利益面で見れば、新規取引が無くなると、収益・費用がいきなりなくなるわけではありませんが、伸びが止まります。一方で支払保証料等の支出は毎期発生するので、収入はなくなりますが、支出はとまりません。このため、通常企業と逆でキャッシュフローが利益の先行指標となることがわかります。なお、タイムラグは平均借入期間が3年程度なので、3年と推測できます。そして、3年後は、収益・費用も発生しなくなり、収支もなくなります。

ここから、企業・事業の成長という面では、KPIの成長と金融債権調整後の営業キャッシュフローの推移に注目する必要があることがわかります。